公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

アジアの精神性を大切にするACRPへ

アジア宗教者平和会議(ACRP)実務議長 デスモンド・カーヒル

ACRPは、現在、アジア・太平洋地域における22カ国において私たちの諸宗教のネットワークが存在しております。ACRPは、1976年シンガポールで開催された第1回ACRP大会を契機として創設されました。アジアの精神性を大切にし、それぞれの宗教が持つ叡智を結集し、紛争和解や人道支援、軍縮などの平和構築を行っております。

WCRP日本委員会は現在、ACRPの事務局を担っており、ACRPの様々な活動の原動力となっております。2021年には、東京で第9回ACRP大会が開かれましたが、大会史上初めてとなる、会場とオンラインのハイブリット形式の大会を日本の多くのスタッフの協力で大成功のうちに開催することができました。さらに、この大会でACRP活動の中心であるフラッグシップ・プロジェクトの事業費に3000万円もの財的支援をしてくださいました。ACRP創設以来、WCRP日本委員会は長年にわたってアジアにおける諸宗教対話・協力活動を積極的なリーダーシップで牽引してくださっております。ここに改めて、日本の宗教者の皆さんに、ACRPへの多大なご協力に対し、心より御礼申し上げます。

私は、宗教コミュニティと宗教指導者は、危機に直面している弱い立場にある人々に耳を傾け、寄り添い、支援し、共に生きていくことにこそ、その役割があると信じております。それは、移住者、難民、無国籍者として到着した人々に精神的・スピリチュアルなケアに奉仕することであり、また、女性や子どもたちの保護と教育に特別な責任を持ち、必要な行動を実施することです。そして、人種差別や社会的・身体的ネグレクトによって人々の幸福や人権を損なうことを防止する教育を、自らの宗教コミュニティで行いそれを広く社会全体に浸透させることです。

こうしたことを実践する私たちアジアの宗教者には、アジア特有のスピリチュアリティが存在していると信じております。それは深遠なる真理の探求、沈黙の重要性への認識、執着からの離脱、非暴力の実施、正直さの実践、自然との一体性への深い理解などが特徴としてあげられます。私は、このスピリチュアリティをACRP活動の中心に置きたいと考えております。このスピリチュアリティこそが、これからの不安定な世界において、最も必要とされる人間の精神性であると確信しているからです。

ACRPは、2026年で50周年を迎えます。またこの年には第10回目のACRP大会の開催が予定されております。この2026年を節目として、真にアジアと世界の平和実現に向け新たなACRP活動を展開していく予定です。引き続き、日本の皆様にACRPに対するご支援をお願い申し上げます。

(WCRP会報2023年10月号より)

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