公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

戦争は罪です死です秋の声

カトリック枢機卿・WCRP日本委員会顧問 前田万葉

日本カトリック教会では、1981年に教皇ヨハネ・パウロ二世が来日し、広島平和記念公園から、「平和アピール」をしたことを契機に、8月6日から8月15日までの10日間を平和旬間としています。この期間、特に6日の「広島原爆忌」、9日の「長崎原爆忌」、15日の「終戦記念日」には、各地で、平和について「考え祈り行動する」ようにしています。

わたしは特に、この平和アピール冒頭の「戦争は人間の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です」を引用します。戦争は人間の仕業ですから、「戦争をしないのも人間の仕業」として実現できるはずだ、と訴えます。

また、「過去を振り返ることは、将来に対して責任を担うことです」「広島を考えることは、核戦争を拒否することです。広島を考えることは、平和に対しての責任をとることです(アピール4)」などの言葉から、戦争反対、核兵器廃絶を呼びかけます。これは、広島平和記念公園の原爆死没者慰霊碑の「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の言葉とこだまするかのようです。私も平和句として、「繰返しません安らかに雲の峰」「九条は十字架という終戦日」などと詠みました。「非暴力、非戦、非武装、非核」を呼びかけるためです。

また、宗教者仲間に対しては、アピール5の「この地上の生命を尊ぶ者は、政府や、経済・社会の指導者たちが下す各種の決定が、自己の利益という狭い観点からではなく、『平和のために何が必要かが考慮してなされる』よう、要請しなくてはなりません。…」を呼びかけます。

昨年来日して、長崎、広島で平和について発言した教皇フランシスコは、この言葉の実行者だと思います。「あの凄まじい、暴力の犠牲となった罪もない人々を思いおこし、現代社会の人々のねがいと望みを胸にしつつ、…私は謹んで、声を発しても耳をかしてもらえない人達の声になりたいと思います」と語りました。そして、「確信をもって、改めて申し上げます。戦争のために原子力を使用することは、現代において、犯罪以外の何ものでもありません。…原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています」とも語りました。世界の指導者たちに「核兵器禁止条約」への批准を呼びかけたも同然です。

宗教者たちが目指す「世界平和」のご参考になればと思います。

(WCRP会報2020年12月号より)

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