公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

新春挨拶

浄土宗心光院住職・WCRP日本委員会理事長 戸松義晴

新年おめでとうございます。

旧年中も世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会のために、温かいご支援、ご協力を賜りまして誠にありがとうございました。

昨年は、世界を揺るがす大きな出来事が起こりました。2月24日、突然ロシア軍が隣国のウクライナに侵攻しました。進攻を受け多くのウクライナの人々が犠牲となり、平和に暮らしていた街を追われ、現在も国内外に避難を余儀なくされています。その人数は国内600万人、国外に800万人と言われ、多くは女性や子どもたちです。

この事態に対し、国連や主要国は役割を果たすことができず、第二次世界大戦以降、世界の平和を保ってきた安全保障体制は大きく揺らいでいます。それと同時に、世界の人々は21世紀に起こったこの事態を、すぐには受けとめることができず大きなショックを受けたのだと思います。

WCRP日本委員会は、3月2日に緊急声明を発表するとともに、ウクライナの避難民に対する人道支援募金を開始しました。7月から多くのウクライナ難民が逃れた隣国ポーランドにボランティア隊を派遣し、10月までに4隊を送り出し支援活動を行いました。これは日本委員会として、海外にボランティア隊を派遣する初めてのケースともなりました。

また9月には、ウクライナやロシアをはじめとした紛争地域の宗教指導者を日本に招き、対話のための諸宗教平和円卓会議を開催しました。実際に顔を合わせて語り合い、相手の文化を知り、思いを知る。ここから平和へ向けた協働の歩みが始まるのだと確信いたしました。

WCRPの取り組みは、このように、祈りとともに現場に身を置き、人と出会い、語らい、自分のこととして思いをはせる、そして行動する。平和構築のために「思いをかたちにする」ところに社会的使命があるものと思います。

2023年も、この活動の中核を担う、ストップ!核依存・和解の教育・災害対応・気候危機・人身取引防止の5つのタスクフォース、平和研究所、婦人部会、青年部会の皆さまと力を合わせ、平和をつくる歩みを進めてまいりたいと思います。また、青年部会は発足50周年の節目を迎えます。未来の世界の平和を担う宗教青年に大いに期待しております。

卯年を迎えた本年も、コロナ禍が見通せない状況となりましょうが、一足飛びにはいかずとも、思いをかたちにするために着実に皆さまと共に歩んで参りたいと思います。

このような取り組みは、日本委員会の役員はじめ、賛助会員の皆さま、関連団体のご理解とご支援があってのことと感謝申し上げますとともに、さらなるご協力をお願いいたします。

(WCRP会報2023年1月号より)

BACK NUMBER