公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

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お知らせ
2022.5.09
国際関係 ボランティア・支援活動

ウクライナ周辺国現地調査レポート [1]

現在のウクライナ情勢を受けて、WCRP日本委員会はウクライナ支援募金を3月から開始しました。現在、WCPR日本委員会は、WCRP加盟団体と連携し、ウクライナ周辺国での支援にむけた現地調査を行っています。実施中の現地調査を随時レポートしてまいります。

5月5日(木)モルドバ共和国

現地調査隊は、日本のNGO団体「難民を助ける会(AAR)」が支援を行うキシナウ市内に設置された難民保護施設を訪問した。もともと映画館であった建物(すでに廃業し8年が経過)を利用して難民保護施設を設置している。現在約100人が生活しており、日本のNGO「ピースウインズジャパン」と共に難民支援を行っている。同施設では、毎日400世帯(週2,000世帯)に食糧や日用品を配布している。現場責任者のウラジミール・リシコフ氏によると、日本からの物資提供の支援は様々な問題が発生する可能性があるため、資金提供を通して現場で物資を確保する方向性が望ましいとのことであった。

AARはそのほかに、学生寮を利用した難民保護施設の食糧品提供とケア、また保養施設への難民生活支援も行っている。現地調査隊は、学生寮を利用した施設にも訪問し、日本から持参した千羽鶴と、現地で購入した子ども用支援物資を渡した。

AARは支援の長期化を見通しており、オデッサへの本格的な侵攻が始まった場合には、さらなる難民の増加が見込まれている。また、難民の増加とその支援の影響も受けて、物価がかなり上昇している。

AARの支援の中では、言語の問題が大きいことが聞かれた。それは、難民とはロシア語もしくはウクライナ語での会話が求められ、現地スタッフとは英語、そして市街の人とはルーマニア語でのコミュニケーションが必要になっている。

   

5月6日(金)モルドバ共和国

現地調査隊は、難民支援活動を実施するサレジオ修道会教会を訪問し、難民受入担当責任者のチェーザレ神父とセルジオ神父らと面会した。サレジオ修道会は、レジーネ・パーチス(Regine Paces)財団とともに、キシナウ市内外の7か所で避難所を運営し、難民受け入れを行っている。現在、7か所の避難所には約350人が滞在しており、避難所以外で暮らす約250世帯の難民家族に食糧・生活必需品配布を行っている。

ウクライナからの避難者は女性と子どもが大半を占めるため、より家庭的な場所の滞在を求める傾向が強いとのこと。同会では、妊婦には経済的な支援を手厚くしたり、障がいを持つ人々にも必要とされる支援を行うなど、ニーズに応じた支援を行っていた。チェーザレ神父によれば、夫や父親を戦地に残し避難してきたウクライナの人々は、SNSなどを通じてウクライナに残った彼らと連絡を取りっているため、物理的には戦地を離れていても、精神的には戦地に残された状態であり、より精神的なケアを必要としているとのことであった。

さらに、ウクライナからの難民流入によって国内の物価が上昇し、その影響を受けてモルドバのもともとの貧困層の生活もより厳しくなっている現状がある。

レジーネ・パーチス財団は、難民と貧困層の摩擦によるヘイトなどが起きないよう、難民支援とともに、従来の貧困層支援活動も継続して行っている。