公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

INFORMATION

お知らせ
2020.12.18
提言・リリース

新型コロナウイルス禍に対するWCRP平和研究所の声明

新型コロナウイルス禍を生きぬく慈しみの実践に向けて

現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染によるパンデミックにさらされ、世界中の人々が仕事、教育、経済そして家庭生活に困難を極めています。2020年12月には、全世界での感染者数は累計で7,400万人を超え、亡くなられた方は164万人を上回りました。亡くなられた方には心からのお悔やみを申し上げます。また、罹患され現在治療中の方や今も後遺症と闘っておられる方には、一刻も早いご快復を祈念申し上げます。そして、医療の最前線で治療に24時間体制で対応されておられる医療関係者の皆さまに、深く感謝申し上げます。

世界宗教者平和会議(WCRP)は今年、創設から50周年を迎え、新たな歩みを始めました。これまで核兵器廃絶、紛争解決、気候変動、SDGs(国連の持続可能な開発目標)など、地球が抱える諸問題に対する宗教者の役割について議論し、連携して取り組んでまいりました。2020年4月、WCRP国際委員会はユニセフとともに新型コロナウイルス終息のため宗教を越えた連帯について、共同声明を出しました。WCRP日本委員会は、WCRP各国の諸宗教ネットワークによる新型コロナウイルス対応支援、緊急事態宣言下におけるオンラインによる宗教者の集い「祈りをつなぐ水曜日」の開催、マスク配布プロジェクトなどの活動を行っています。現在、世界中の国々と人々の住む地球環境が脅かされている状況下、WCRP日本委員会は、世界の各国委員会と連帯しながら感染拡大の試練を乗り越えるべく努めてまいります。

私たちの通常の風邪の原因ウイルスとしてのコロナウイルスが、なぜ宿主(ホスト)の生命を脅かすほどの強い感染力と致死性を獲得したのかは、諸説が分かれています。しかし、国連のSDGsが指摘するように、地球規模での過大な人口増加、人間の大量移動、経済的理由からの医療格差、また、CO2等の温室効果ガス排出量の増加による気候危機、大量のプラスチック投棄による海洋汚染と健康被害等々、「地球は泣いている」状態にあります。このような地球環境においては、ウイルスが人間に悪影響を及ぼしても不思議ではありません。

私たちは決して、いわゆる天罰論に与しませんが、このことをある一面で、「あまりにも人間中心的な所業の問題性に気づきを求める厳しい警告」と、宗教的に受けとめることもできるかもしれません。私たちは、これまでの現代文明の人間中心主義的な動向を再考し、今後の人類と地球の未来を考え直す契機としたいものです。

他方で、感染者や濃厚接触者、医療従事者さらにはその家族に対して、差別的な言動・過剰反応が起きないよう配慮することも大切です。私たちが恐れるのはウイルスであって、人ではないことを、改めて心に留めておきたいと思います。

新型コロナウイルスと共存せざるを得ない現在、巷間でいわれている通り手洗いの実行とマスク着用の励行等々、可能な限り感染の拡大防止につとめなければなりません。マスクや手洗いをして相手に接することは、それ自体が相手を尊重する心のあらわれであり、自他共に多くの命を救う実践です。

さらに、マスクを入手することが困難であり、また清潔な水と石鹸が確保できず、十分に手洗いをすることができない環境での生活を余儀なくされている世界の人々や、コロナ禍においてさらに厳しい生活を強いられている社会的な弱者、生活困窮者へ思いを馳せた救済のための慈しみの実践は、今求められる、掛け替えのない宗教的な行動でありましょう。

新型コロナウイルスが終息し、人と人との安全な接触ができるためには、早期のワクチン開発と世界中の人々への平等な投与が必須です。ウイズコロナ時代は、まだ相当の期間続くことが予想されますが、現時点においてもすでに、既存の日常モデルや慣習から脱却した、「ニューノーマル」時代への、早期の対策が重要です。

現在の困難がいつまで続くかは分かりません。今以上の試練が待っているかもしれません。私たちの将来は、現在の過ごし方に掛かっていると言っても過言ではないと思います。現在の宗教活動ではマスクを外し、互いに手を取り合って共に進む布教伝道や信仰生活は、困難な状況です。しかし、近年一般化したインターネットを使ったオンラインでの触れ合いや対話、協力も視野に入れての活動は可能です。その気持ちを大切に、皆さまと共に力を合わせて、私たち宗教者はウイルスに対する正しい知見を養い、「正しく恐れ」ながら、早期の終息をめざしてコロナ禍を乗り切りたいと思います。私どもWCRP日本委員会は、団結してコロナ禍を克服し、アフターコロナの時代を見据え、一人ひとりの人間を大切にするとともに、生きとし生けるもののために全力を尽くす所存です。

2020年12月18日
公益財団法人 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
平和研究所

新型コロナウイルス禍に対するWCRP平和研究所の声明.PDF