WCRP日本委員会
気候非常事態宣言の国会決議を歓迎する声明
11月20日、国会で「気候非常事態宣言」の決議が成立されたことを、公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は、脱炭素社会の実現に向けた立法府の意思を強く示すものとして、歓迎の意を表します。
世界各地で、気候変動によって引き起こされる熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつ等によって多くの人々や生態系、また自然が犠牲となっており、安心して安全な生活をおくることが困難な状況になりつつあります。
このような異常な気象は、人間活動によって発生する温室効果ガスが影響していることを多くの専門家が指摘しています。そして、もしこのまま温暖化が続けば、風水害による大災害、農業被害による食糧供給の不足、病気の発生、資源をめぐる紛争の勃発などで、より多くの人々のいのちが危険に晒され、また生物種の絶滅の危機を招くことになります。
これに対応すべく国際社会は、「産業革命前からの気温上昇を2℃より低い状態に保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことを目標としました。この実現のためには2050年までにCO2排出量をゼロにする必要があります。
この「気候非常事態宣言」は、2016年12月にオーストラリアのダレビン市が最初に決議され、本年10月時点で1,700を超える自治体と31カ国が宣言しています。この宣言は、行政のみならず大学、学会、企業などに波及し、WCRP日本委員会は本年1月28日にWCRP「気候非常事態宣言」を採択しました。
この宣言の意義は、「もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」との認識を幅広く共有するものです。そして、この認識をもとに国際社会が掲げた目標を実現するための実行計画を策定する契機となるのです。
この度の国会における「気候非常事態宣言」の決議は、日本における自治体や組織、団体の気候非常事態宣言の決議をさらに促すものであり、また国際社会においても日本の気候危機に対する真摯な姿勢を示すもので、大きな意味があります。
その上で、WCRP日本委員会は、今後、以下の取り組みの必要性を表明します。
昨年8月ドイツのリンダウ市で開催された第10回WCRP大会において、125カ国1,000名の宗教者は、歴史上前例のないスピードと規模で気候危機に取り組む意識を共有し、宗教が持つ道徳的、社会的、精神的な資源を最大限活用し、この問題に立ち向かうことを誓い合いました。
WCRPは、諸宗教者が集う連合体として、引き続き、様々な国際ネットワークとともに、祈りと平和の行動を通して、早期の脱炭素社会の実現に力を尽くす決意を新たにします。
2020年11月20日
公益財団法人 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
理事長 植松誠