1945年7月16日、アメリカ・ニューメキシコ州にて、人類史上初の核実験「トリニティ実験」が実施されました。そのわずか数週間後、広島と長崎に原子爆弾が投下され、多くの市民の命が一瞬にして奪われました。
日本は世界で唯一の戦争被爆国となり、被爆者の「ふたたび被爆者をつくらない」という切実な願いが世界へと発信されることになりました。
あの惨禍から80年を迎えた今もなお、世界には1万発を超える核兵器が存在し、「抑止力」の名のもとに正当化されています。
こうした現実に対し、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は「核禁止タスクフォース」を設置し、宗教の枠を超えて核兵器の非人道性を強く訴え続けてきました。宗教者の声は、被爆の実相に根ざした祈りであり、いのちを尊ぶ人類共通の願いです。
そして、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞、映画『オッペンハイマー』の上映などを通じ、核兵器廃絶を求める市民の意識はこれまで以上に広がりを見せています。
私たちと連携を深めるICANや被団協がノーベル平和賞を受賞したことは、私たちにとっても大きな喜びであり、多くの人々に勇気を与える出来事でした。
杉谷義純WCRP日本委員会会長は、2025年1月発行の会報において次のように述べています。
「2025年は、戦後80年、原爆被爆80年、そして国連創設80年という節目の年となります。この重要な年にこそ、宗教者による対話を着実に、かつ堅実に深めることが大切です。それぞれの宗教が堅持する信念を共有し合い、そして宗教者が協力・連携を深める中においてこそ、この厳しい状況に光明が見出せる道が拓けていくものと、私は信じるものです。」
G7広島サミット 宗教者による祈りとシンポジウム
WCRP日本委員会はこれまで、国連軍縮特別総会や国連軍縮会議、核兵器の人道性に関する国際会議などを通じ、核兵器廃絶に向けた提言と対話を積み重ねてきました。2017年に国連で採択された核兵器禁止条約が50ヵ国の批准を経て2021年1月に発効したことを受け、日本をはじめ各国政府の条約批准を求める取り組みも継続しています。
被爆者の「ふたたび被爆者をつくらない」という切実な訴えと、過去の戦争に対する宗教者の反省と責務を心に刻み、私たちは祈りと粘り強い対話を通して全面的な核兵器廃絶に向けた行動を続けています。
このたび、戦後80年という歴史的節目にあたり、WCRP日本委員会は7月16日(トリニティ実験の日)から8月15日(終戦の日)までの31日間、「核なき世界」への願いを込めたオンラインキャンペーンを実施いたします。
本キャンペーンでは、記憶を風化させることなく語り継ぎ、共に学び、行動へとつなげていくことを目的とし、オンラインセミナーや平和メッセージ発信、参加型企画を行います。
「核なき世界」は夢物語ではありません。この課題に向き合い、声をあげ、一歩を踏み出す市民の力が、必ず未来を変えていきます。
私たちは今、あらためて問います。
――皆さんは、どのような世界を次の世代に手渡しますか。――
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