世界宗教者平和会議(以下WCRP)国際事務総長であるフランシス・クーリア・カゲマ博士が、事務総長に就任して1年の節目を迎えました。このたびの訪日は、日本の宗教者との連携強化に加え、2025年夏に予定される「東京平和円卓会議」の準備や国際事務局の運営に関する議論を深めることを目的としたものです。
©Religions for Peace (WCRP) Japan
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1月31日、WCRP日本委員会の理事会・評議員会および新春交流レセプションが開催され、クーリア事務総長も来賓として出席しました。本レセプションでは、約200名の宗教リーダーと交流を深める貴重な機会となりました。
事務総長は、未来を担う青年たちに向け、次のように力強く語りかけました。
「WCRPは、平和とは単に対立がない状態ではなく、相互理解、協力、そして共通の安全が確保された状態であるという深い認識のもとに設立されました。私たちは、今直面している様々な危機において、若者こそが社会と地球の希望であることを理解しています。平和を実現するためには、若者たちが先頭に立ち、その道を切り拓いてほしいと願っています。」
また、戸松義晴理事長とのトークショーでは、WCRPの果たすべき役割、総合理解や慈悲に基づく平和構築について意見を交わしました。事務総長は次のようなメッセージを発しました。
「新たな行動様式を築く鍵は『分かち合い』にあります。現代社会は個人主義と物質主義が蔓延し、多くの人が自己の欲求を満たすことに奔走しています。今こそ、分かち合う生き方が求められています。その実践こそが、健全な個人と社会の実現につながるのです。日本は、世界に倫理的・道徳的価値を示すことができる国です。『許し』と『分かち合い』の精神をもって、新たな行動様式を世界に広めていきましょう。」
さらに、具体的な変革には「人」「資金」「アイデア」の三要素が不可欠であると述べ、長年にわたる支援に対し深い感謝の意を表しました。
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2月5日には、同時期に来日していた国際共同会長のチャールズ・ボー枢機卿と共に「ミャンマー平和円卓会議」に参加し、クーデターによる犠牲者の増加や人道支援の必要性について議論が交わされました。
ボー枢機卿は「ミャンマーの人々の痛みと涙を可視化することが不可欠であり、日本の関係者にはより強力かつ持続的な関与を求めたい」と訴えました。
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また、クーリア事務総長は「ミャンマーの現状が国際的に報道される機会が減少していることに深い懸念を抱いている」と述べ、即時停戦と平和・和解の実現を強く訴えました。
※円卓会議の詳細はWCRP日本委員会HPをご参照ください。コチラ
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京都では妙法院を訪れ、杉谷義純 WCRP日本委員会会長(天台宗妙法院門跡門主)と対談しました。世界平和に向けた宗教指導者の役割、国際事務局の運営、核廃絶の取り組みなど、多岐にわたる議題について意見を交わしました。
クーリア事務総長は次のように述べました。
「事務総長の役割は、いわばドライバーのようなものであり、仲間たちを安全に平和の道へと導く責任を担っています。そのためには、先達の知恵と導きが不可欠です。」
これに対し杉谷会長は、「日本とケニアは距離的に離れているが、今回の対話を通じて心の距離が縮まった。今後も相互理解を深め、世界的な視野を持って平和実現へ向けた取り組みを推進してほしい」と期待を寄せました。
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妙法院での対談後、清水寺にて大西英玄青年幹事長と会談し、日本の青年が果たすべき役割について意見を交わしました。事務総長は「国際青年メンバーと協力し、WCRPの活動をさらに発展させてほしい」と期待を寄せました。
また、限られた時間の中で清水寺を参拝。日本庭園を眺めながら日本文化に触れ、心の安らぎを得るひとときを過ごしました。
今回のクーリア事務総長の訪日は、日本と国際社会の架け橋として、宗教者が果たすべき役割を再確認する重要な機会となりました。「東京平和円卓会議」をはじめ、今後の活動の発展に向けた確かな基盤が築かれたことは、大きな成果といえるでしょう。
このたびの訪日に際し、ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。私たちは、宗教の枠を超えた協力を通じ、より良い未来の実現に向けて尽力してまいります。