公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

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2025.10.06
国際関係 提言・リリース

Religions for Peace、イスラエルとハマスの停戦合意を歓迎 ― 恒久平和のための対話継続を呼びかけ(Religions for Peace執行委員会 声明)

2025年10月20日ニューヨーク:2年以上にわたる凄惨な戦争を経て、Religions for Peaceはイスラエルとハマスの間で成立した停戦合意を歓迎し、心から祝意を表します。この戦争がもたらした計り知れない苦しみと犠牲を考えると、この停戦は私たちに深い希望と安堵をもたらすものです。イスラエル人とパレスチナ人の双方の捕虜が解放され、家族や愛する人々が再会できたことを祝福します。

今回の停戦は、すべての当事者が、意味のない暴力を終わらせ、長く続いた紛争の犠牲の重さを見つめ直し、対立ではなく、理解・正義・平和によって築かれる未来へと歩み出すための、極めて重要な機会となります。Religions for Peaceは、「ガザ和平20項目計画」に含まれる宗教間対話プロセスをさらに推進するため、今後も精力的な取り組みを続けます。

過去2年間の苦難と破壊の中で、この紛争は数万人に及ぶ罪なき命を奪い、地域社会を壊滅させ、古代の聖地を破壊し、無数の家族に長く続く心の傷を残しました。人道危機はいまだ深刻であり、すべての関係者に、緊急に必要な食料がガザの人々に迅速かつ確実に届けられるよう求めます。

また各国政府、国際機関、宗教団体に対し、永続的で持続可能な平和のため、緊急かつ集中的な取り組みを継続することを呼びかけます。この停戦はいまなお危ういものではありますが、単なる戦闘停止以上のものと捉えなければなりません。紛争の根本原因に取り組み、恒久平和の基礎を築くための重要な一歩として位置づけられるべきです。すべての関係者は共生が「可能性」ではなく「現実」となる環境を築く義務を担っています。私たちは、この停戦が全ての暴力の完全な終結へとつながることを切に祈ります。

これからの道のりは決して容易ではなく、極めて重要なものとなります。赦し・癒し・和解の精神こそが、これからの歩みを導くものでなければなりません。あるコミュニティの苦しみが他のコミュニティの苦しみを軽んじることがあってはならず、一方の希望が他方の願いを覆い隠すこともあってはなりません。平和とは、分かち合い、包摂するプロセスであり、すべての人の尊厳・権利・希望を尊重するものです。今回の停戦が、新たな章の幕開けとなり、対話が暴力に打ち勝ち、調和が分断よりも優る未来となることを願います。

私たちはガザの人々がコミュニティを再建し、復興できるよう支援しなければなりません。必要なことは膨大にあり、国際社会はその要請に応えなければなりません。特に、子どもたちが再び学校に通えるようになり、礼拝所が再建されることが急務です。

私たちはイスラエルとガザの双方の指導者にはが、今という歴史的な瞬間において、勇気と先を見通す力をもって行動することを強く求めます。真に長く続く平和を実現するためには、これまで積み重なってきた不満や不正義、不安定な状況に真摯に向き合い、国際法を守り尊重しながら、すべての人々に共感を寄せることが大切です。すべての人間に共通する精神性をもって、あらゆる個人の権利・願望・尊厳を尊重する持続可能な平和に向けて共に努力しましょう。聖地に住む人々が分かち合ってきた苦しみは、すべての人々の聖なる繁栄の分かち合いへと道を譲らなければなりません。

私たちは国際社会に対し、この危うい停戦を揺るぎない決意をもって支えるよう呼びかけます。安定化を促し、建設的な対話を奨励し、人々の生活と地域の再建のために資源を提供することは私たちすべてに共通するの責務です。聖地は世界中の何十億もの人々にとって深い意味を持つ場所であり、その未来が、皆で分かち合う平和の上に築かれていくよう努めることが私たちに与えられた使命です。Religions for Peaceは、イスラエルとパレスチナ、そして中東全域で、平和構築と停戦支援に取り組むさまざまな宗教指導者たちの活動を引き続き支援していきます。

多くの命が失われたことを悼み、私たちは国境を越えた聖なる慈悲を呼び起こすために「共同の祈りの力」を結集しましょう。Religions for Peaceは、ガザ、ヨルダン川西岸、イスラエル、そして世界中のすべての人々の安全と幸福を願って、共に祈ることを呼びかけます。和解と癒しを切望するこの地域において、私たちは共に平和・団結・希望の担い手となりましょう。共に、良心ある人間として、声なき者の代弁者として、人権・尊厳・自由の擁護者として行動していきましょう。

1970年に設立されたReligions for Peaceは、世界最大かつ最も代表的な諸宗教組織であり、各宗教コミュニティの協働による平和の推進を目的としています。現在、6地域、約100カ国に存在する諸宗教評議会をはじめ、信仰をもつ女性や若者のネットワークを通じて、地域・国家・国際レベルで活動を展開しています。宗教・人種・民族・背景を問わず、すべての人が平和と安全という基本的人権を享受すべきだという信念のもと、活動を続けています。

仮訳:WCRP日本委員会

原文:こちら

参考: