公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

聖なるつながりあういのち(Shared Sacred Wellbeing)を受け入れる―宗教的行動への呼びかけ―

RfP/WCRP国際委員会事務総長 フランシス・クーリア・カゲマ

人間の存在と多様な宗教的・信仰的信条の織り成す綴(つづれおり)には、人類と私たちの共通の故郷である地球の繁栄を確保するという、共有された聖なる責任がある。宗教の教えであれ、スピリチュアルな哲学に根ざしたものであれ、私たちの世界観は、すべての生きとし生けるものの尊厳を守り、相互につながりあう生命の網を保護するために協力して取りくむよう、私たちを招き寄せている。

歴史の岐路に立つ今、聖なるつながりあういのちを受け入れる必要性は、かつてない緊急性をもって鳴り響いている。国連難民高等弁務官事務所によると、2024年末までに、紛争や迫害、環境悪化から逃れるために1億3500万人もの人々が避難生活を余儀なくされると予想されている。この人道的危機は、人間性の共有という概念と相反するものであり、国境を越えた思いやりを指針として受け入れることを私たちに求めているのである。

このような苦しみを前にして、宗教者は深い責任を負っている。私たちの多様な信条と伝統は、きらびやかな豊かさと極端な困窮が共存する世界を拒否するよう私たちに強いるものである。不平等と不公正のシステムを解体し、地球の豊かさをすべての人々に公平に分配することが不可欠である。

野放図な貪欲と消費主義による自然破壊は、神の秩序に対する重大な違反である。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は、「私たちは逃れられない相互性のネットワークに巻き込まれ、運命というひとつの衣で結ばれている。一人に直接影響するものは、間接的にすべてに影響する」と述べている。私たちの運命は地球の運命と絡み合っており、自然界を冒涜することは、被造物の管理者の神聖な信頼を裏切ることである。

聖なる繁栄を共有するために、私たちはあらゆる生命を尊重し、一人ひとりの本質的価値を尊重するという呼びかけに耳を傾けなければならない。教皇フランシスコは回勅『ラウダート・シ』の中で、この基本的な真理を強調し、社会的、環境的、経済的正義が相互に関連していることの認識を促している。実際、人類の繁栄は、生態系の健全性と切っても切れない関係にある。

さらに、聖なるつながりあういのちを追い求めることは、不平等と搾取の根本原因に立ち向かうことを要求する。それは社会から疎外された状態を永続させ、社会の大部分に基本的な権利を否定する抑圧のシステムに挑戦することを私たちに強いるものである。

これらの深遠な真実に思いを馳せながら、私たちが日常生活の中で神聖なつながりあういのちを体現する方法を考えてみよう。疎外された人々の声を聞き、公平と正義を促進する政策を提唱しよう。連帯と共感の精神を培い、私たち一人ひとりの行動が人類の運命共同体を形成する力を持っていることを認識しよう。私たちが団結し、聖なるつながりあういのちへの揺るぎないコミットを通して、私たちは慈悲、公平、正義が実現する未来への道を開くことができるのである。

世界レベル、地域レベル、国レベルで活動するWCRP/RfPは、世界が直面している紛争や苦しみを生み出す不正義や抑圧の根本原因に取り組むプロセスや行動を実施していく上で、ユニークな特徴がある。私たちの宗教指導者は、それぞれの信仰と地域社会との深い結びつきを持ち、慈悲、愛、慈愛の価値観に基づく社会変革の波を大きくし、共通善を犠牲にした個人主義的な貪欲と自己満足に対し、効果的に立ち向かうことができるのである。

私たちWCRP/RfP国際事務局は、世界的な運動と宗教指導者を支援することを約束する。私たちは、これが神の恩寵(おんちょう)を受ける神聖な義務であると信じているのだ。

(WCRP会報2024年7月号より)

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