公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

心が時代をつくる

全日本仏教婦人連盟理事・WCRP日本委員会女性部会委員 本多端子

仏教では、この世を五濁悪世(ごじょくあくせ)と言って、五つの濁りをあげ悪世と表されます。

(1)劫濁(こうじょく) 飢饉や疫病、戦争などの社会悪が増大する
(2)見濁(けんじょく) 思想の乱れ。邪悪な思想や見解がはびこる
(3)煩悩濁(ぼんのうじょく) 貪・瞋・痴などの煩悩が盛んになる
(4)衆生濁(しゅじょうじょく) 衆生の資質が低下し悪をほしいままにする
(5)命濁(みょうじょく) 衆生の寿命が次第に短くなる

数年に渡るコロナパンデミックもようやく収まったとはいえ、ひとたび世界に目を向けるとあちらこちらで戦争が続いております。正に五濁悪世、まことに寂しいかぎりです。そんな中、最近では安全・安心なまちづくりや社会など、安全や安心という言葉が標語のように使われています。それは正に理想のように思われます。しかし安全とは、ある程度の基準を設けて損害がないと客観的に判断されることです。

それに対して安心とは個人の主観的な判断に大きく依存するものであります。つまり安全には基準があるが、安心には基準がないのです。例えば、外出の際に鍵を一つかけて安心する人もいれば、二つも三つもかけて安心する、それでもまだ不安で警備会社に頼んでやっと安心するなど、切りがありません。しかしこの安心こそが人生において最も大事な心の働きと言えるでしょう。

不安、不幸、不満、不足、など基準のない心の働きの否定には、不という字がついています。なぜなら私たちは、自分自身で勝手に基準を設け、それ以上だと安らぐとか、幸せ、満ちている、足りていると決定するからでしょう。しかし人間の欲望はややもすれば限りなく、それが叶わなかったときに苦しみが生まれます。お釈迦さまは「少欲知足」欲を少なく足ること知るとお諭しくださり、「中道」偏らない心を持つことをすすめられました。

情報過多なこの時代に生きる私たちは、宗教に支えられて柔和忍辱(にゅうわにんにく)の心を持つことが肝要に思われます。常に心が時代をつくってきたといっても過言ではないようにも思われます。

世界中には色々な宗教がありますが、多くの人に信仰されている宗教には、三つの共通点があります。それは、

(1)信じること
(2)感謝すること
(3)奉仕すること

であります。

WCRPは諸宗教の叡智を集結し、対話に基づき、平和構築のための活動をおこなっております。私共(公社)全日本仏教婦人連盟の信条に「私たちはつどいの力を信じて働きましょう」とあります。これからも各団体と協力し、つどいの力を信じて、社会の福祉と文化の向上に努めて参りたく存じます。

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