公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会

Heartful Message

こころの扉

気候変動非常事態宣言と足元の精進

一燈園・WCRP日本委員会活動委員 西田宗敬

令和2(2020)年1月28日に開催されたWCRP日本委員会の理事会・評議員会は、「WCRP気候変動への非常事態宣言」を採択しました。宣言では、個人・宗教・政治・経済の四つの指標に対して提言が示されております。そして末項には、これらの行動基盤となり、私たちの精神的支柱として「地球に生かされているという自覚を育む教育」の重要性が宣揚されています。

これまでの人類は、先進国と称される国々を中心に地球からあまりにも多くのものを受け取り、また暴力的に奪ってきたと思われます。それは、何か一つを得ても次の瞬間には新しい別の欲に駆り立てられる、欲の連鎖ともいえる強固な繋縛のもとにある社会です。しかし、そのことへの矛盾を一部の人々は気づきはじめています。SDGsに積極的に取り組まれている宗教や企業、市民(団体)がその先駆的存在かと思います。私は、人間が享受してきたものは人間の能力によって得たものではなく、じつは地球からの恩恵であると受けとめています。そもそも、私たち人類の生存自体が地球に許されている身であるからこそ、欲を制し「足るを知る精神」を世界全体が共有しなければいけないと考えています。

本年、一燈園が宮崎県に建設したサンメッセ日南が創立25周年を迎えます。サンメッセ日南は、「地球に許されて、生かされていること」「地球に感謝すること」の気づきと祈りの場として建設しました。テーマは、「太陽からのメッセージを受け、地球に許される生き方に気付くご縁づくりの広場」です。これらは、先に言及したWCRP日本委員会の気候非常事態宣言の精神、「地球に生かされているという自覚を育む教育」と合致しております。

そしてサンメッセ日南は開園23年間に430万人の入場者を迎える事ができました。

一燈園創始者の西田天香は、人間の果てしない欲とおごりが生み出した文明世界の限界に気づき、地球のみならず、宇宙を含む大自然への感謝と懺悔の証として托鉢を行じました。その浄財が原資となり建設されたのがサンメッセ日南であります。感謝と懺悔は、言葉や文字だけの空虚な理念であってはなりません。自分自身の実践が伴って、初めて自覚の上に現れてくる真実であります。西田天香が『天華香洞録』の中に示された「人間は本来無一物、自分の肉体も含めて、すべては大自然からの預かりもの」を心に刻み、これからも足元から精進させて頂きます。

(WCRP会報2021年2月号より)

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